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【S×A】だから人生は素晴らしい

第4章 ありふれた日常





マサキの笑い声が、リビングに響く
嬉しそうに世話を焼く


張り切って食事を用意して……
妹ながら、いじらしいと思う


あんな場所で、たったひとり、
ホントにマサキを探すとは思わなかったし


ホストしてるって事さえ、曖昧だったのに





「……ありがとう。

なんか……ごめんね」

「ごめんだなんて!

簡単な物しか出来ないんだけど」





テーブルには、
有り合わせで作ったオムライスとコンソメスープ


俺の分と
会わない間に、明らかに痩せたマサキの分



"食欲ない"って言うけど、
顔色が悪いのも、怪我だけのせいじゃない



何にも出来ないから、って

なりに必死なのが伝わった






「ホントに、何でも言って下さい!

利き手が使えないと、大変だって思うから」

「……うん。ありがと」





申し訳なさそうに笑うマサキは、


……なんにも変わらない



さっき感じた違和感は、
気のせいかと頭を過る



元々、マサキの素性をよく知らない俺が


数週間会わないだけで、違和感を感じる事自体


間違ってるのかも知れないけど









「明日、また来ますからっ。
ちゃんと休んでて下さいね」

「……うん」

「お兄ちゃん!ちゃんとマサキさんのこと、手伝ってあげてね」

「わかってるよ」





タクシーを呼んで、が家に戻ると、


途端にシンと静まり返った





ソファーに身体を沈め、


カクンと力を抜いたマサキの様子に気付いて


張り詰めた空気に、気まずさを覚える







「えと…とりあえず

風呂沸かすから」

「ん…」





何か言われたわけでもないのに、

向いた背中だけで

俺に一線引いてるのがわかる





「……あと、

寝る前に薬飲めよ?」

「うん」





居心地の悪い空間をどうにかしたくて


無駄に会話を頭に浮かべて…




「あ、オムライス、

無理しただろ?ホントは。

時間的にもヘビーだしさ」



はは、って

空々しい笑い声がヤケに響く




「……久々マトモに食べたからね。

ちょっと無理したかも」






そう言ってマサキが

くるりと俺に振り返った








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