第19章 もしそうだったとしても
目が覚めると、隣にはよく知った金髪の男の子
ぼんやりと曖昧な記憶を辿る。
15歳になったこと、15歳の私達がしたこともぜんぶ
私の記憶として残っていた
(電気くん……今の、私が好きだって…言ってくれた)
そのことが嬉しくて、暖かいものが胸を満たし、瞳から溢れ出す
何歳でも好きになったという言葉も
それでも27の私の方が好きだという言葉も
全部全部嬉しくて
涙が止まらない
私は、電気くんの、今までの言葉すべてを信じれていたわけじゃない
どこかでいつも、12歳違うことを引け目に感じていた。
こんなに、愛してくれているのに、彼の愛を疑っていたのだ
泣きじゃくる私の声で起こしてしまったのか、電気くんが驚いた顔をして抱きしめてくれる
「どうした?咲良
怖い夢でもみたか?
どこが痛いのか?」
『…っ…痛い…のかも…
胸が、、、ごめん…
ごめん、電気くん…わたし、電気くんのことが好き…
電気くんのこれからする、初めても…青春も、
全部私にちょうだい…』
自分で言ってて本当に、笑えてくるくらい強欲だ
そんなワガママも、電気くんは優しく笑って、
受け止めてくれる
「俺も…
全部…咲良にもらって欲しい
決心してくれて、ありがとう」
優しく撫でてくれる手は、とても暖かくて大きい
私は、とても遠回りしたけれど
この人に愛される為に生まれて来たんだと思う。
そして、この人を愛する為に、今までたくさん傷ついて来たんだと思う。
だから、もう…良いよね?
幸せになっても
「咲良…俺と、結婚してくれね?」
照れたようにはにかんだ笑顔の電気くん
『はい、喜んで』
差し出された手に、そっと手を置いて答えると
電気くんは、顔をくしゃくしゃにして泣き始めてしまった。
2人とも、涙でぐちゃぐちゃで
決して、人に見せれたものではなかったけれど
それでも、この世の皆んなに見て欲しいくらい
私たちの愛は本物で
それをもう、恥ずかしいなんて思わない。
私の婚約者は、12歳年下
誰よりかっこいいヒーロー志望の高校生男子です。
⚡︎Fin⚡︎