第6章 体育祭
焦凍くんの控え室を去るとすぐに控え室1の方へ向かう爆豪くん。じゃあ私はここで…と改めて別れを告げると、今度はまた不貞腐れた顔をして、控え室の中に入れと促される。…どういうこと?決勝までの時間はあと少しで、休める時間は少ない。すると、爆豪くんは中にあるベンチに腰掛け、「ん」と隣をさす。こっちに来いということだろうか?
『えっと…お邪魔します?』
促されるままに爆豪くんの横に座るとなんと爆豪くんは私の膝に頭を乗せてしまった。
『え?!なんで!?』
爆「寝る。てめえは枕がわりだ」
どうやら私は枕として連れられたらしい。なんというか、唯我独尊の爆豪くんらしいといえばらしい。時間も少ないし仕方ないなあと思い、大人しく膝を貸すことにした。するとものの数十秒で彼は眠りについた。膝の上にある彼の顔をまじまじと眺める。こうして見てるとなんだか可愛いんだよね…眉間のシワもとれてるし。
_____そして、しばらく経って試合開始5分前になる。そろそろ起こした方がいいかな、と思って彼の顔を覗き込んで声をかける。
『爆豪くん、起きて!』
爆「!!…っ!なっ…!」
『おはよ、もう5分前だよ。準備した方がいいかも』
爆「〜〜ッ!ちっけえよ!!!」
『わあ!?』
思いの外近い場所に顔があって驚いたらしい爆豪くんは、私から飛び退いていった。
『そ、そんなに嫌がらなくても…』
爆「…ああクソ!!嫌じゃねえからそんな顔すな!!あと、てめえは俺を応援しろよ!俺がてめえを負かしたんだからな!」
まあ確かに爆豪くん負けたら自然と私も焦凍くんに劣ることになるし…それにしても、結局自分を応援してほしいなんて、爆豪くんにも可愛いところがあるものだと心の中で感動しておく。
『私は、2人とも応援する。
がんばって、勝己くん』
爆「!!!」
『だって、不公平でしょ?』
さっき私は焦凍くんを応援したから、今度は爆豪くん。ちゃんと、2人とも応援してるよ、という意味を込めて。
爆「…おう」
そっぽを向いた彼の顔はわずかだが赤くなっていて、こっちが驚いた。どっちが勝っても負けても、きっと私はおめでとう、と言う。
2人とも大切な仲間だから