第6章 体育祭
そのまま爆豪くんと会話しながら歩いていると、控え室に到着したらしい。じゃあ私はここで、と別れを告げようとしたとき、爆豪くんは勢いよくドアを開けて中に入ろうとした。が、中にはすでに先客がいた。
爆「あれ!?何でてめぇがここに…控え室…あ、ここ2の方かクソが!!!」
どうやらこっちの控え室ではなかったらしい。中には焦凍くんの姿があった。そしてこれを完全スルーの焦凍君。そして彼は爆豪くんの後ろに誰かがいるのがわかったらしく私の方に目を向けると、少し驚いた顔をした。
轟「マナ…?」
『ごめんね、精神統一してたところ邪魔して…』
私に声をかけても爆豪くんに関しては無視をきめた焦凍くん。
そんな彼の様子に、短気でプライドの高い爆豪君は不機嫌になったようで。
爆「部屋間違えたのは俺だけど、決勝闘う相手にもう少しなんかあってもいいんじゃないかオイオイオイ。
どこ見てんだよ!半分野郎が!!」
爆豪くんは焦凍くんにつっかかる。すると、焦凍くんはチラリと爆豪くんに目をやって、思い出したように口を開いた。
轟「それ…緑谷にも言われたな」
爆「あ?」
轟「あいつ無茶苦茶やって人が抱えてたもんブッ壊しにきやがった。幼なじみなんだってな。昔からあんななのか?緑谷は」
焦凍くんは緑谷くんのことを気にしているらしい。緑谷くんが言った言葉だからこそ、彼に届いたような気がしてたけど…実際そうなんだろう。しかし爆豪くんからすれば、焦凍くんの目の前にいるのは自分なのに、自分が最も気にくわない緑谷くんしか見えていないことに更に苛立ちが募ったようだ。
爆「あんなクソナード…どうでもいいんだよ!てめぇの家事情も…気持ちも、どうでもいいから俺に使ってこいや!!左の炎!
てめぇの全てを超えてオレが勝つぜ」
爆豪くんは緑谷くんに使ったのだから自分にも使えと言っているのだ。爆豪くんは緑谷くんを目の敵にしている節がある。私にとっては幼なじみといえば電気で、仲良しなのが当たり前だったから、彼らの関係はいまいちピンとこない。
爆「行くぞ」
『あ、待って!じゃあね、焦凍くん、焦らなくていいからね!』
私は焦凍くんにそう言ってその場を後にした。