第6章 体育祭
『他のヤローって…爆豪くんはいいの?』
爆「はぁ!?勘違いすんなよ!俺が石のままでいていいわけねえからだかんな!」
すごい剣幕で言い散らかす爆豪くんに、私も苦笑いしてしまう。たしかに、「他の男にそんなことするな」なんて言われたらもしかして…とか思ってしまうかもしれないけれど、なんたって相手は爆豪くんだ。そういう意味でないのは私だってわかってる。
『わかったわかった。決勝前に疲れちゃうでしょ、そんなに怒ってたら…ほら、休んで。ね?』
爆「言われんくても休むわ」
『ならよし。じゃあ、頑張ってね……って、何この腕』
私がその場から去ろうとすると、腕を引っ張られる。そして、行かせないとばかりにぐっ、と引き寄せられた。
爆「……」
『え?なに?』
私の腕を掴んで黙り込む爆豪くん。顔は俯いていて、何を考えているかはわからない。が、掴む腕の力は強くなって、どうにも私に帰ってほしくなさげな様子だ。
『ほんとにどうしたの?何か言いたいことか、してほしいことあるの?』
爆「……半分野郎に」
『…焦凍くんが、どうしたの?』
爆「!…しょう、とだァ…?」
『っ!あ、ええと…轟くんが、なに?』
爆「…てめえあいつばっか応援してんじゃねえぞ」
ぼそっと、ようやく彼は口にした。
『え?』
爆「贔屓すんじゃねぇっつってんだ!!!黙って俺のこと見てやがれ!!!クソが!!!」
ものすごく大きな声で、顔を真っ赤にしながら叫んだ爆豪くん。その言葉にまさかと思って問いかける。
『…応援、してほしいの?』
爆「ちげえ!!!あいつのこと応援すんなっつってんだ!!」
勢いよく訂正されたけど、それってなんだか子供のやきもちみたいだ。思わずくすくすと笑ってしまった。それに爆豪くんは「なに笑っとんだ!」って怒ったけど、なんだか全然怖くない。むしろ可愛いとまで思えてきた。
『素直じゃないんだから』
爆「俺はいつでも素直だわ!!」