第6章 体育祭
思わず固まってしまった。だって、今…この人は何て言った…?
エ「君の個性なら十分焦凍の嫁にふさわしい」
『…轟くんの意思は、どこにあるんですか』
エ「必要ない。あれは俺が作ったのだ、どう生かすも俺の自由だ」
『!!轟くんは人形じゃありません!』
悔しい、悔しい!
あんなにも優しくて頼もしい轟くんが、こんな…人形のように扱われるなんて!父親なのに!!
エ「あれは俺の移し身だ。君にどうこう言われる筋合いはない。君はただ、焦凍の嫁になり、強い個性の子を産めばいい」
『っ!!そんなの…おかしい…です』
轟「なにしてんだよ!」
その場に轟くんの声が響く
轟「おいクソ親父!!甘風になにしやがった!」
エ「俺は彼女に焦凍の嫁になれと言っただけだ」
轟「!!てめえはまた…同じこと繰り返すつもりかよ!!」
轟くんの怒りが伝わってくる
そして
轟「いくぞ、甘風」
轟くんに腕をとられてその場を離れた
去り際、私はエンデヴァーさんに、軽くお辞儀をした
轟「…わりぃ、あいつの言うことは気にしなくていい」
『…うん。あの、轟くん…』
轟「なんだ」
『…ごめん、昼休み聞いてた』
轟「…ああ、緑谷の。別にいい。隠してるわけじゃねえ…」
『あ、のね…私も、個性婚で生まれたの!!』
轟「え…?」
『おじいさん同士が、強い個性の子を望んでた。それで、私の父と母を結婚させたの!でも…2人は幸せそうだった……私の個性を知って、喜んでくれたし…個性婚でも、幸せな家庭で育ったんだ…』
否定されるかもしれない。ふざけるな、って幻滅されるかもしれない。けれど…もし、そうじゃなければ、少しは彼に近づけるかもしれないと…期待を持った。だから、怖くてもこの話ができたんだ。
すると、彼から帰ってきた言葉は思わぬものだった。
轟「…そっか。だったらするか?個性婚」
『え?だ、誰と、誰が…?』
轟「俺とお前」
『なっ、ななななんでそうなるの!?』
轟「親父の言う通りは癪だが、お前が相手ならいい」
『け、結婚って、好きな人同士がするんだよ!?と、轟くんにもいるんじゃないの?モモちゃんとか!』
轟「俺はお前が好きだ」