第6章 体育祭
「自分ではオールマイトを超えられねえ親父は次の策に出た
"個性婚"知ってるよな?超常が起きてから第二~第三世代間で問題になったやつ。自身の個性をより強化して子供に継がせる為だけに配偶者を選び結婚を強いる。倫理観の欠落した前時代的発想」
ドクリと胸が熱くなる。
だって、私の両親は個性婚で結ばれた人たちだから…
轟「実績と金だけはある男だ。親父は母の親族を丸め込み母の個性を手に入れた。俺をオールマイト以上のヒーローに育て上げることで自身の欲求を満たそうってこった
鬱陶しい…そんな屑の道具にはならねえ!」
彼は個性婚を否定している。もちろん、それは褒められたことじゃない。…じゃあ、私は?
個性婚で生まれた私…そんな私のことも、彼は否定するだろうか…?…怖い。そんなの、イヤだ。せっかく、同じクラスで、高め合える仲間になれたのに…!
轟「記憶の中の母はいつも泣いてる。"お前の左側が醜い"と母は俺に煮え湯を浴びせた」
私と彼は違う
私は親が個性婚でも愛されてきた。だから、そんなにも個性婚で苦しんでいる人がいるなんて、思ってもいなかったんだ。
涙が溢れそうになる
体が震える
そんなとき
ぎゅっ…
(爆豪、くん…?)
爆豪くんが黙って私の肩を抱き込み、片手で私の目を覆う
どうして、こんなときに優しいんだろう
轟「ざっと話したが俺がおまえにつっかかんのは見返す為だ。クソ親父の個性なんざなくたって…いや、使わず一番になることで奴を完全否定する」
ごめんね轟くん、聞いちゃって。でも、動けそうになくて…爆豪くんがいるからじゃなくて、きっといなくても体が動かなかった。
こんな話、友達くらいにしか…いや、友達にも聞かれたくないだろうに…
轟「おまえがオールマイトの何であろうと俺は右だけでおまえの上を行く。時間とらせたな」
轟くんが去ろうとしてるのがわかる
そのとき
緑「僕は!!僕はずっと助けられてきた。さっきだってそうだ。僕は誰かに救けられてここにいる。笑って人を救ける最高のヒーローオールマイト…彼のようになりたい。その為には一番になるくらい強くなきゃいけない。君に比べたら些細な動機かもしれない。でも僕だって負けられない。僕を救けてくれた人たちに応える為に
さっき受けた宣戦布告改めて僕からも。僕も君に勝つ!」