第6章 体育祭
上「待て待て」
尾「ヴィランに侵入されたばっかなのに体育祭なんかやって大丈夫なんですか?」
耳「また襲撃されたりしたら…」
みんな一度はテンションが上がっていたが、先日の敵の襲撃のことが頭を過って急に不安に襲われる。そんな生徒たちの様子を見た相澤先生は、その心配はごもっともだというように彼らを宥める。
相「逆に開催することで雄英の危機管理体制が盤石だと示すって考えらしい。警備も例年の5倍に強化するそうだ」
つい一昨日前にあんなに周到な襲撃をされたんだ。警備が5倍なのは適当かそうでないかはわからないけど、用心するに越したことはない。けれどみんなの不安は最もで、襲撃を受けたばかりで体育祭をやるのはかなりリスキーだと思ってしまう。
相「何よりウチの体育祭は最大のチャンス。敵ごときで中止していい催しじゃねぇ」
峰「いやそこは中止しよう?体育の祭りだよ」
相「ウチの体育祭は日本のビッグイベントの一つ。かつてはオリンピックがスポーツの祭典と呼ばれ全国が熱狂した。今は知っての通り規模も人口も縮小し形骸化した。そして日本において今、かつてのオリンピックに代わるのが雄英体育祭だ!」
そこまで注目されると緊張しちゃうけれど…。でも、自分の力を見せる場でもあるんだ!ちゃんと、私がみんなを救えるヒーローになれる証明をしなくてはならない。全国の人に認めてもらえなきゃ、ヒーローになんてなれない。
八「当然全国のトップヒーローも観ますのよ。スカウト目的でね!」
上「卒業後はプロ事務所にサイドキック入りがセオリーだもんな」
耳「そっから独立しそびれて万年サイドキックってのも多いんだよね。あんたそうなりそう。アホだし」
相「当然名のあるヒーロー事務所に入った方が経験値も話題性も高くなる。時間は有限。プロに見込まれればその場で将来が拓けるわけだ」
いかにプロヒーローに自分の力が有用かと見せられるか。大丈夫、わたしだってここに来てずっとヒーロー科で頑張って来たんだし、何もしてこなかったわけじゃない。私はできる!と自分で自分を鼓舞してあげながら気合を入れる。
相「年に1回、計3回だけのチャンス。ヒーロー志すなら絶対に外せないイベントだ。その気があるなら準備は怠るな!」
「「「はい!!」」」