第6章 体育祭
『電気、手合わせしよ』
上「いいのかよ?手の内晒して」
『いいよ。負けないから』
上「言うじゃねえか」
私は体育祭の3日前に、電気に勝負をいどんだ。すると、やはり電気も成長しているらしく、前より放電の仕方がうまくなってる気がする。
けど
『遅いよ!』
上「なっ!!」
私は電気に殴りかかる。それには電気も驚いていた。だって私は今まで蹴りは使っても、決して拳を使うことはなかったから___
上「うっ…くそ、俺の負けだよ」
『電気、女の子相手だととたんに弱くなるよね』
電気は本気じゃなかった。
女である私が相手だから。
きっと、女の子に本気を出せないということは今後厳しくなると思う。タイマンで女の子と当たらないとも限らない…
上「仕方ねえだろ…お前のこと傷つけるの、なんか躊躇っちまうんだからよ」
『それじゃ特訓にならないよ』
上「いや、避ける練習になったぜ!なんたってお前の動きすげえからな!」
『…今度はちゃんと、私のこと倒す気でやってよね』
それに対して電気は苦笑いしかしなかった。私が一方的に傷つけたみたいでなんだか申し訳なくて、ちょっと沈んだ声を出してしまったのは仕方ない。
『電気、私の部屋おいで。手当てしてあげるから』
上「ああ…」
私の治癒の力があまり人に見られないように、部屋に呼ぶことにした。電気は昔から何度も私の部屋にあがっているため今更遠慮はなく、親だって「いらっしゃ〜い」と朗らかに言う。
上「はじめて受けたかも、お前の治癒」
『そうだね、でも何回か使ったことはあるんだよ。だから安心して』
上「お前ほんと色々できるよな。唯一できねえのって、探知とかか?」
『うん。それについては今後検討します。今はできることを伸ばさないとだから』
上「ま、お前ならできるって!なんせ俺の幼なじみだし!」
『ふふ、なにそれ。だったら電気もだよ。私の幼なじみなんだから』
上「え、それは…あはは…」
こんな風に過ごせるのは、あとどれだけかな。きっと、電気は可愛い彼女作って、私のことをこんな風に扱うことはなくなる……私は好きという感情を少しばかり敬遠しているから彼氏なんてできないと思うけれど。
でも、この時間が私は好きだ
だから、あとどれだけあるかわからないこの時間を、大切にしたい
そう、思った