第6章 体育祭
〈昨日雄英高校ヒーロー科の災害訓練施設で生徒達がヴィランに襲撃を受けた事件の続報です。警察の調べによると犯人グループは自らをヴィラン連合と名乗り、今年春から雄英高教師に就任したオールマイトの殺害を計画していたことが新たにわかりました。警察は72名のヴィランを逮捕しましたが主犯格の行方は依然としてわかっていません〉
今日は学校が臨時休校。”敵による雄英高校襲撃”は一日中、どこの局でもニュースで取り上げられていて、当事者としては落ち着かない。今でもまだあのときの恐怖や不安は鮮明に覚えてしまっている。
『お母さん、電気のとこ行ってくるね』
あまりに落ち着かず不安になってきたため、電気の元へ向かうことにした。電気が側にいればきっとこの不安だって和らぐだろう…なにせ彼は私のことをよくわかってくれるし、そんな彼といると安心するから。
電気の家はすぐそば。道路を1本挟んだ、斜め向かいだ。インターホンを鳴らすと、玄関のドアを開けて出てきたのは、会いたかった幼なじみだ。彼は私の顔を見るなりちょっと驚いた顔をした。
上「マナ、どうしたん?」
『なんか、落ち着かなくて…部屋、あがってもいい?』
上「いいぜ。ほら、遠慮すんなって!」
電気はすんなり私を部屋にあげてくれた。相変わらず流行りのものをかき集めたような彼らしい部屋で安心する。あ、これこの前帰りに店前で見てたやつだ…
『ごめんね、急に』
上「今に始まったことじゃないだろ?」
『そうなんだけどさ…なんか今になって急に不安になってきて…昨日は大丈夫だったのに、おかしいな。…情けないよね、ヒーロー目指してるのに』
上「…今日、泊まってけよ」
『え?』
上「俺がずっとそばにいてやるからさ。そしたらなんかあっても俺が守ってやれるし!それでも不安か?」
『…ううん、すごく心強い。ありがとう』
電気のこういうところがすごく好き。やっぱり大切な幼なじみだから、そばにいると一番安心する。
上「へへっ。あ、そうだ!新しいゲーム買ったんだよ、一緒にやろうぜ!」
こうやって、私の不安を少しずつ取り除いてくれる。電気に彼女ができたら、こんなこともうなくなるのかな…と思うと、まだ見ぬ彼女を想像してしまい切なくなる。
『電気、もうちょっとだけ、彼女作らないでね』
上「は?」
『今電気に彼女できるの、私やだから』
