第5章 emergency
リ「で?どうやったんだい?あんなにも綺麗に治せている。治癒の個性ではなかったと思うんだけどねぇ」
保健室の隣の部屋に促され、リカバリーガールとともに中に入る。するとさっそくこちらに向き直し、リカバリーガールによる事情聴取が始まった。
『私の個性…メロメロの一部です。えっとすみません…詳しいことは私もわからないというのが本音ですが…触れることで、傷を治すことができます。表面だけなら良いのですが筋肉や骨には届きにくくて、体力と時間を使います。ただ、出血した分の血は戻らないんです。』
リ「なるほどね。で、それを敵に見せたと?」
リカバリーガールも怒っている。当然だ。彼女だって希少な治癒の個性の持ち主だ。それがいかに危険かということは、彼女が1番よくわかっているのだから。私は何も反論することもできず、ただ俯いて謝ることしかできない。
『…すみません、緊急事態だったので…』
リ「…まあいいよ。とりあえず、その個性は無闇に使うんじゃないよ。それと、相澤先生の顔を見ておいで」
私の顔を見てため息をついたリカバリーガールは、言いたいことを飲み込んで、私の気持ちを優先してくれるらしい。その心遣いに、素直に甘えよう。
『わかりました。相澤先生はどちらに?』
リ「こっちだよ」