第5章 emergency
死「今回は失敗だったけど今度は殺すぞ、平和の象徴オールマイト!
それと、今度はもらうよ。回復キャラのその女」
去り際に、敵に指さされ、さらう宣言をされた私。やっぱり治癒の力を見せてはいけなかったかもしれないという思いもあったけど、あの場で私は相澤先生を治すことができたんだ。後悔はしていない。それに、私の周りにはたくさんの人がいる。大丈夫、私はひとりじゃない。
敵が去っていったあとのUSJは悲惨な物だった。そんな悲惨な建物の中で、ようやく私は幼なじみの姿を目に映す。
『あ、電気!!』
上「うェ~い」
『あ、アホになってる!どうしたの?』
見つけた幼なじみは、個性の反動でアホになっていた。かなり個性を酷使したのだろう。生きていてくれて、本当に良かった。電気は嬉しそうに私に駆け寄ると、何かを伝えようと話し始める。
上「うェ…うェ…」
『そっか、怖かったね。もう大丈夫だよ。ほら、手繋いであげるから』
上「うェ~~!」
耳「いや、通じたの?!」
『うん、昔からだからね。こう…電気語は習得したよ!』
八「よかったですわね、上鳴さん。上鳴さんはずっとマナさんのことを心配してましたのよ」
『そうなの?ありがとう電気』
上「うェ」
電気の手を繋いで歩いていると、爆豪くんが目の前にやってくる。
『どうしたの?』
爆「なんだそいつ」
『アホになった電気。赤ちゃんみたいで可愛いんだよ』
上「うェ!?」
爆「はっ!!ざまあねえな」
爆豪くんは率先して敵と戦っていた。あんな悪意を目の前にして、彼はなにを思ったのだろう。
『爆豪くん、これ』
爆「?んだよ」
『少しだけど、切り傷あるから。リカバリーガールに治してもらうほどじゃないと思うから、よかったら使って』
私は常備しているバンドエイドを爆豪くんにあげた。それをきょとんとした顔で見つめる爆豪くん。なんか、初めてみる顔かも。
爆「…しゃあねえからもらっといてやる」
『ありがとう』
爆「なんでてめえが礼言うんだよ」
『貰ってくれて嬉しかったから』
爆「チッ…はよ行くぞ。おいアホ面!ちんたら歩くな!つか1人で歩け!」
上「うェ…!?」
爆豪くんに無理やり連れていかれた電気にふふっと笑ってしまう。いつまでも、私も電気の側にはいられないよね。彼にはもう、素敵な友達がいるんだもん。
