第5章 emergency
「ふーん……13号はやったのか」
「行動不能にはできたものの散らし損ねた生徒がおりまして…1名逃げられました」
「黒霧…お前…お前がワープゲートじゃなかったら粉々にしたよ!」
あいつらがそんな会話をしてるのが聞こえる。おそらく、飯田が助けを呼びに行ったのだろう。であれば、救援が来るのも時間の問題だ。あと少し、持ち堪えなければ。
「さすがに何十人ものプロ相手じゃかなわない。あ~あ今回はゲームオーバーだ。帰ろっか」
その言葉に生徒たちが安心した様子を見せた。しかしあいつはそんな彼らの心を嘲笑うかのようにニヤリと笑い、生徒の方を向く。
「あっ そうだ。帰る前に平和の象徴としての矜持を少しでも…
へし折って帰ろう」
そう言ってやつが手を伸ばしたのは…蛙吹だ。触れさせるわけにはいかない。何が何でも、生徒には、絶対に。全ての力を振り絞って、俺は奴の個性を消す。
「……ほんとかっこいいぜ」
奴が俺を見て笑う。
「イレイザー・ヘッド」
そうだ、俺はプロヒーローイレイザーヘッドだ。お前なんかに、へし折られてたまるか。視界の隅で、甘風が涙を流しながらこちらを見つめている。
『あいざわ、せんせ…っ!』
そんな心配そうな顔をするな。大丈夫だ、おまえがだいぶ治してくれた。さっきよりずっと、体が軽いのさ。伝えて安心させてやりたいが、もう限界が近い。さて、ここからどうするか…!と考え始めたその時、あの無駄に大きな声がUSJに響いた。
「もう大丈夫
私がきた!」