第5章 emergency
相澤サイド
『相澤先生!!』
なんで、ここにあいつがいるんだ。こんな、一番危険な場所に!!
相「馬鹿か!来るな!足手まといだ」
『すみません!傲慢だってわかってます!でも…お願いします、相澤先生…私を使ってください!あなたを…守らせてください!!』
守らなくていい、お前は安全なところにいろ。…よりによってお前がここに来るなんて、こっちは想定してねえんだよ!お前がここにいると、俺はお前を守ることで手一杯になっちまうことくらいわかるだろ!?…と言いたいことは山ほどあるが、こっちはそれどころではない。手の敵は、啖呵きった甘風を興味深そうに見やると、一歩こちらに近づいた。
死「へえー…随分健気な生徒じゃん。どんな個性?」
『…ごめんなさい』
突然現れ、謝る甘風は俺の壊れたヒジに手を当てる。するとどういうことか、俺のヒジはみるみるうちに元に戻っていく。こいつの個性は石化だったはずだ。なのに、どうしてこんなことができる?と俺が呆気に取られていると、敵も甘風がやっていることが治癒であることに気づいた。そして、忌々しそうに呟く。
死「!!回復キャラかよ…」
腕に痛みは多少残っているが、さっきほどじゃない。さらに、甘風はおれの目にもあてる。そこからだんだんと回復していくのがわかった。この短時間で、ここまでの修復ができるとは…
『戦闘では、足手まといになるかもしれません…けど、少しでもあなたが苦しまないようにすることはできます。私を、使ってください』
敵がいる真ん前でこんな個性を使ったことを俺は叱らなくてはいけない。…が、それは今することじゃない。今俺がすべきことは
「…わかった。感謝する、甘風!」
目の前の敵をいち早く退けること。そして生徒たちを守ることだ。
実際、治癒ができるのはかなりのアドバンテージだ。とはいえ、ここに甘風を置いておくのも躊躇われる。今俺はこの怪物と戦ってるだけに、あの手の奴までみる余裕がない。
死「回復キャラ、いいなあ…ねえ、他にはなにができるの?」
『勘違いしないでください!私は先生を治すためにここにきたんです!戦闘にきたわけでも、ましてやあなたとお話にきたわけでもありませんから!』
ちゃんと、あいつは自分の立場をわかってる。俺を治してからは敵の手が届かない場所まで逃げているのを確認してようやく安心した。
