第5章 emergency
ス「皆さんご存じとは思いますが僕の個性はブラックホール。どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます」
そう、それを使いこなせるからこそ先生はとても頼れるヒーローなんだ。きっと血の滲むような努力をして、個性の精密な制御をものにしたのだろう。そうでなければその個性で人命救助のスペシャリストとなれるはずがない。
葉「その個性でどんな災害からも人を救い上げるんですよね」
ス「ええ。しかし簡単に人を殺せる力です。みんなの中にもそういう個性がいるでしょう」
うちのクラスはかなり強力な個性を持った人たちの集まりだ。轟くんも爆豪くんもそうだけど、そんな限定的な話じゃない。私だって、例外ではないのだ。
ス「超人社会は個性の使用を資格制にし厳しく規制することで一見成り立っているようには見えます。
しかし一歩間違えば容易に人を殺せる行き過ぎた個性を個々が持っていることを忘れないでください。相澤さんの体力テストで自身の力が秘めている可能性を知り、オールマイトの対人戦闘訓練でそれを人に向ける危うさを体験したかと思います。
この授業では心機一転!人命のために個性をどう活用するかを学んでいきましょう。君たちの力は人を傷つけるためにあるのではない。助けるためにあるのだと心得て帰ってくださいな」
13号先生、いいこと言うな…多分、ここにいる人たちみんなの心に強く残ったと思う。人を傷つけるためにある力じゃない。私たちはヒーローになって人々を救いたいのだ。そのために、己の力を正しく理解して、制御できるように、活用できるように訓練しなければならないと、より一層気合が入った。
ス「以上、ご清聴ありがとうございました」
「素敵~!」「ブラボー!ブラボー!」と先生に対するリスペクトの声が響く。
相「よーしそんじゃまずは……ッ!」
相澤先生が始めようとしたとき、何か黒いモヤが現れた