第5章 emergency
『爆豪くん…?』
爆「………」
尋ねてもなにも言わずに、ただ私の腕を掴んでいる。えっと、これは…一緒に座る流れになるのだろうか。
結局バスは爆豪くんの隣に座った。電気は私の隣に座るつもりだったみたいで、あのあと声をかけてきたけれど、爆豪くんのすごい威圧に負けてその場を去って行った。それにしても、なんで私を連れてきたんだろう?と爆豪くんの方を見つめていると、ふいに彼が口を開いた。
爆「悩んでんのかよ」
いつもの調子と違って少し穏やかな声で彼は言った。普段とのあまりのギャップに、私は一瞬、反応が遅れてしまう。
『え?あ、そうかも…私の個性ってメインは石化だから、対人向けだと思うし…レスキューって何ができるかなって…』
思わず悩んでいた本音をそのまま語ってしまった。隠しているわけじゃなかったけど、ちょっと弱気になっていたのが恥ずかしくて思いの外小さな声で打ち明けてしまう。
爆「んなこと言ったら俺だってそうだわ。つーか、てめえはそんな心配ねえだろ」
『なんで?』
爆「てめえのこと見てると、安心すんだよ。助けられた側は…って、なんだよ」
まさか爆豪くんにそんなこと言ってもらえるとは思わず、思わず凝視してしまった。本当に爆豪くん?普段もっとギラギラしてるし、言っては悪いが、そんな励ますようなことを言う人だと思ってなかった分…信じられない気持ちでいっぱいだ。
『え、だって…安心って…え?』
爆「覚えてねえならいいわ!!今の忘れやがれ!!!そもそも、てめえはあのでけえハートに人乗っけて飛び回って助けられんだろ!?何がレスキューで何ができるかな?だ!!」
『あ、そうか!確かに!その発想なかったかも~』
そっか、そんなこともできるかも!と彼の視野の広さと発想に感動しながらそのイメージをする。何人まで乗っけられるだろう?色々今日試してみたいな。