第15章 15章 仮免試験に向けて
『お茶子ちゃん…?』
かなり集中しているらしく、私の声は届いていない。しかし、その乙女の表情を見るに、彼女の視線の先にいるのは彼女のハートを射止めた誰かなのだろう。私はあえて彼女の視線の先は追わないことにした。
芦「恋愛といえばさー!!いるじゃん!1番話題持ってるの!ねえ、マナ!」
『えっ!?』
葉「そうだよ〜!轟くんとはどうなの!?」
『あっ、えっと…な、んとも、ないよ!』
突然焦凍くんの話をふられて驚いてしまった。何ともないのは事実だけど、告白されてからなんだかんだ意識するようになってしまった以上、下手なことを言うのはまずい。それに…
(轟「俺がマナを失いたくなくて、勝手に行っただけだ!」)
あんなことを、あんな目で言われてしまったら、もっと彼の心に触れたくなる。
芦「何もないことないでしょー!あんた今日ずっと轟のこと見てたじゃんか!」
『え…?』
芦「え?って何さ!自覚ないの?!」
『う、うん……そんなつもり、なかったんだけど…』
葉「キャーーッ!無自覚の恋だ!!」
『ちっ、ちがうよっ…!』
さっきのお茶子ちゃんの気持ちがよくわかった。これは違うを連呼するしかないやつだ…!
芦「ねえーー!!どうなの!?轟とはどうなのさー!!」
『チガウチガウ』
顔を隠して否定するしかできなくなった私。もう何も考えずに否定する。そうでないと心臓が爆発しそうだ。そんな私に救いの手を差し伸べてくれたのは響香だった。
響「はいはい。そこらへんにしときなって。明日も早いし、寝ようよ」
芦「ちぇ〜っ!でも絶対また今度教えてよね!」
葉「絶対だよ〜!」
そうしてようやくあの地獄の質問責めから解放された私。隣に座る響香に心から感謝する。
『響香ありがとう…』
響「あんたの恋バナ、ウチにはしっかり教えてよね」
前言撤回。ただ私を質問責めしたい人が変わっただけだった。