第15章 15章 仮免試験に向けて
共有スペースを解散すると、私は自室に戻って柔軟運動をしていた。何分か繰り返していると、突然スマホが着信の音を鳴らす。こんな時間に誰だろう?
『え?勝己くん?』
あまりに意外な人物からの連絡だったため、間違ってるんじゃないかと何度も確認したが、どうやら本当に私宛に送っているらしい。
《話がある。》
たったそれだけだ。話って何だろう?彼からこんな時間に連絡があるということは、きっと急ぎなのだろう。彼の部屋はたしか…4階だったよね。特に男子部屋に行っちゃダメっていうルールもないし、行っても大丈夫なはず。私は身支度を整えて、勝己くんの部屋に向かうことにした。
4階に着くが、廊下には誰もいない。みんなもう寝ているのだろうか。たしか部屋は…ここだったよね?
コンコン、と控えめにノックをすると、中から気怠そうな声が返ってきた。
爆「んだよ、こんな時間に……」
『あ、あの…甘風です。』
爆「……は?」
勝己くんの戸惑った声が聞こえてきた。あれ、本当にメッセージ送り間違えてたりする?とこちらも戸惑っていると、部屋のドアが開いた。
爆「…なんで来てんだよ」
あまりにもビックリしたような、信じられないような顔で言うので、私も困惑しながら要件を伝える。
『え?だって勝己くんが話があるって…送り先間違えてたりする?』
爆「いや、普通電話とか明日学校とかあるだろ」
『勝己くんからの連絡って珍しいから、急ぎなのかなって…ごめん、出直した方がいいかな』
爆「いや、いい。入れよ」
勝己くんが入室を促してくれたので、そのまま部屋に入ることにした。
意外とシンプルな部屋だ。どこに座ろうかと思っていたら、「ん」と座布団を差し出されたので、その場に座布団を履いて座ることにした。
『あ、ええっと…話って、なにかな?』
爆「………」
話があると聞いたので来たのだけれど、どうもその話はすんなり話してくれる感じではないらしい。話しにくいことなのだろうか?勝己くんはそっぽを向きながらしばらく黙り込んでしまった。
沈黙が続いて、体感的には数分、おそるおそるといったように、勝己くんが徐に口を開いた。
爆「てめえは………半分野郎がいいのかよ」