第14章 新しい生活
耳「マナ?起きてる?」
部屋の中で一人ぼうっと考えていると、ドアの向こうから響香の声が聞こえた。のそっと起き上がってドアに向かって歩く。ドアを開けると、心配そうな顔をした響香が立っていた。
耳「え?ちょっ…部屋全く片付いてないじゃん」
『あはは…考え事、してて…』
耳「…ウチでよかったら、話してよ。何に悩んでるの?」
『…大丈夫だよ、心配してくれてありがとう。もう遅いし、明日に響くといけないから響香も部屋に…「ウチら!!友達じゃないの!?」
えっ…?』
耳「そんなに頼りない!?部屋も片付けらんないくらい悩んでるならさ…頼ってよ。それとも、友達だと思ってるのウチだけ?」
『そんなっ、そんなことない!響香は大事な友達だよ!』
耳「…じゃあ教えて。何に、そんなに悩んでるの。どうしても話したくないなら帰るけど、一人で抱えこむなら許さないよ」
『…あがって』
私は響香を部屋に招き入れた。とはいえ、全く片付いていない部屋で、明日もテーブルもまともに出せていないため、床に2人で座り込む。
『…まだ、うまくまとまってなくて…うまく話せないかもしれないけど…』
耳「いいよ、大丈夫。ゆっくりでいいからさ」
『ありがとう。あのね…私は、まだ自分を許せなくて…』
耳「許す?」
『うん。私が攫われてしまったから、みんなが助けに来てくれた。それはすごく嬉しかった…でも、結果みんなを危険な目に合わせたし、他のみんなまで傷つけちゃった…勝己くんは、今朝あの場で彼なりに誠意を見せてくれた。でも、私は?私は、まだ誰にも、何も返せていない。…そんな中お部屋披露大会なんて参加できなくて…どうしたらいいんだろうって、ずっと考えてた。』
ずっと心の中でモヤモヤと渦巻いていた気持ち悪い感情を口に出すと、少しだけ消化できたような気がする。響香は黙って私のまとまらない話を聞いてくれた。
耳「…あんたはただの被害者なんだから、誠意なんていらない。…って言っても、納得しないでしょ」
『…うん』
耳「じゃあ、みんなのところ行こう」
『え?』
耳「マナの言葉で、みんなに伝えなきゃ。1人で考え込んでたって、進まないよ」
『っ、でも…』
耳「いいから!早くしないとみんな寝ちゃうよ!」
響香は強引に、私の腕を掴んでズンズンと歩みを進めていった。