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温もりに包まれてて 【贄姫と獣の王】

第15章 茜色の秘密


カ「ほら、この扉から中庭に出られるよ」

二人で歩いてきた廊下には
同じような木で出来た扉しかなかったが
カイルが立ち止まった目の前の扉は
全面磨りガラス張りだった

上の方はステンドグラスで
赤い薔薇と白い薔薇が棘の中に
二本だけ咲いている柄になっていた。

『綺麗…』

薄暗い廊下を歩いていたので
ガラスに反射する夕日で輝いて眩しかった

カイルがそっと扉を開くと…
中庭の大きな噴水が見えた
水しぶきが茜色に染まり
まるで紅玉髄の粒が溢れ出て
また夕日の中に戻っていくように
水面に消えていった

幻想的なそんな光景に言葉も出ず
只立ち尽くし眺めていたシュリの横顔を
ガラスの扉に体を預けたままで
目を細目 口許に薄ら笑みで後ろから
カイルがじっと見ていた

しばらくそのままだったが
急にシュリがキョロキョロ周りを見てなにかを探しだした。

カ「どうしたんだい?」

『この中庭の入り口はここだけ?』

あの日陰の小さな噴水への道をカイルに聞こうと後ろを振り返った








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