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温もりに包まれてて 【贄姫と獣の王】

第13章 視線


前を向き
胸を張り
足を前す

一歩一歩ゆっくりでいいから…
自分に言い聞かせ
壇上の先まで進み出る

今は何を言われてもしょうがない
けれど ここがアタシの居場所
王様の隣にいるって
そう決めたのだから

何も持ってない 何も出来ない
ならば堂々としていよう

王様に恥はかかせない
胸を張り此処に立つ



まっすぐ胸を張り立つ姿を後ろから
王様が見ていた
なにも言わず けれどどこか誇らしげに
目を細目口の端を上げていた


あまりにも堂々とした姿に
口を開いていた者達は
黙り混み 見とれてしまっていた
そこに立つ者が
人間であることも忘れて



王様side

部屋に入った途端
シュリを非難する声が響いた

私が黙らせないとダメだな…
そう思った時だった
シュリが自ら降ろせと言い出した
何をするのかそのまま見ていたが

只 胸を張り 真っ直ぐ前を見て立っているだけだった

後ろからその姿を見ていると
何か分からないが
その雰囲気に呑まれそうになった

優しく暖かい中に
一本芯が通ったような
そんな空気が広間をつ包んでいた

招待客どもは その空気に呑まれてしまったのか 口を開きなんとも間抜けな顔をさらしていたので 思わず笑いそうになってしまった

が、しかし
広間の端にいる者の目が他の者とは違っていたのを見逃さなかった

あの者はたしか…

まぁ良いか…危害を加える感じはないな…


この時の事を気にしておけば良かったと
後の日に気づくとは思わなかった…




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