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温もりに包まれてて 【贄姫と獣の王】

第13章 視線


王様side

そろそろ時間か
シュリの支度は終わったらしいから迎えに行ってやろう

元々宴など好まなかった
自分が王であると皆の前に立つことを嫌ったからだ

半分は人の血

今まで誰にも言わず秘密にしてきた事が
バレてしまうのではないかと言う恐怖
民の前に立つと皆が私を軽蔑の目で見ているのではないか
そんな感情に押し潰されそうになるからだ

けれど シュリに知られてしまったが
恐怖よりも重くのし掛かっていた物が
軽くなった気がしたのだ

それはシュリがこの国の者ではないと言う事とかではなく
誰にも触れさせなかった"人の手"を
シュリに触れられ
指先から感じた安らぎと温もりが
私の心の刺を抜いてくれたのだ

初めての感情に戸惑っている
傍に起きたい いつでも手の届くところに
でも 誰にも傷つけられぬように
籠にでも入れておきたくもなる
しかしシュリはそんなことは望まないだろう

まだ少しの時間しか一緒にはいないが
アレは何処にでも飛んでいける翼を持つ
小鳥のようだ
それも籠の中の小鳥でなく大空を飛び回る

そんな小鳥の翼を折る者がいるならば
何があっても其奴らから守ってやろう


アレが私に強さもくれたから

大切な物を守ると言う強さを

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