• テキストサイズ

温もりに包まれてて 【贄姫と獣の王】

第13章 視線


夕方になりアヌビスさんがやって来た

ア「着替えて準備をする ついてこい」

いつものそっけない態度よりも
ピリピリした言い方
ご機嫌は頗る悪いようですね…

おとなしくついていくと通路の窓からお城の門が見えた

『わぁーすごい!』

色々な種族の魔物や大きな馬車などが門からどんどん入ってきていた

ア「よいか お前は今日は何もせず喋らずおとなしくしていろ」

『えっ?』

ア「お前はまだ生贄である事には変わりない ただ、王様の気まぐれで生かされているだけだ」

『…』

ア「私とてお前を我が王の妃など認めはせぬ しかし、どんな立場にしろ王の隣に立つからには王の顔に泥を塗ることは許さぬ!」

そう言うと アヌビスさんが静かに近づき 耳元で

ア「人間を傍においているだけで
王には"足枷"なのだ その事ゆめゆめ忘れるな」

自分が重荷になっていることはわかっていた でもはっきりと言われると 自分の思っていた事よりもそれ以上なのだと実感した

それから控え室に着くと
中にはメイド姿の方が3人いて
赤い色のドレスを着せられ
髪飾りやメイクをしてもらった

支度が終わるとメイドさん達は無言で部屋を出て行った
また一人 鏡の前に座り自分と見つめあう

『またドレス…この前の時よりは豪華ではないけれど 可愛い…』

トリップなんてこと起こらなければこんなドレス着ることもなかったし 宴とかパーティーとか無縁の生活だったのに

裾を少しつまんで持ち上げてみると
柔らかい肌触り
高そう…なんて思ってしまった。



"隣に立つ"
軽く考えてたけど 大変なことだよね
王様なんだもん

心臓が今までにないほどドキドキが早い
今からこんなので
宴が終わるまで持つかな…



/ 63ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp