第12章 人の手と獣の手
指先で折り鶴の頭をチョンチョンとつつきながら話すシュリを見て王様は自分の手を見ていた
王「私のこの手では こんな小さな鶴は折れぬから願いは叶わぬな…」
小さな声で話す王様に
『何言ってるの?
王様の大きい手でおっきーな鶴を作れば
願い事一杯出来るし 川にも沈まないから ちゃんと神様の所に着いて叶うよ♪』
王「シュリ…お前は人間とこんな大きな魔物の体をしている私でも 同じ目線で物を見て答えをくれるのだな…」
『ん?だって王様は王様だもん♪』
王「そうか」
優しい金色の瞳で口の端を上げ
微笑みながらアタシをギュッと抱き締めて
そのままの姿勢でベッドに倒れこんだ
ベッドの上に散らばっていた折り鶴達は
空へ飛び上がった
王様の腕の隙間から 飛べないはずの折り鶴達がピンと翼を広げ まっすぐ胸を張り前だけを見て飛んでいくように
アタシの願いを届けて
どうか神様…お願い
目を伏せ心からそう願った…