第12章 人の手と獣の手
『ん…おうさ…ま? おかえりなさい』
目を擦りながらニッコリと
微笑んでくれるシュリに
愛しさが込み上げてくる
王「こんな所で寝ていては体を壊すぞ?」
『キューちゃんとロプちゃんに紙をもらったから 鶴を折っていたんだけど 寝ちゃったみたい エヘッ』
王「これは鶴だったのか」
『そうだよー アタシのいた場所では 折り紙で鶴を折ると願い事を神様に伝えてくれるって言われてるんだよ』
王「願い事か…シュリは何を願ったのだ?」
『アタシは 王様の悩みごとがなくなりますようにって』
王「悩み…だと…」
『そう!アタシが来てから王様が悩むこと増えちゃったでしょ? ごめんね…
アタシは自分の事は自分で何とかするから!でも アタシじゃどうにも出来ない悩みも 王様は一杯あるでしょ?だからそれは 神様にお願いしちゃえってね♪』
王様が爪の先に鶴を挟みジッと見ていると
王「この様な小さな鳥が神の元へ行くのか…」
『フフッ 王様が持つと すっごく小さく見えるね 笑』
『折り鶴はね 願いを込めたら川に流すの 空は飛べないから一生懸命羽を広げ 川に沈まないように進んで神様の所に流れて行って願いを伝えてくれるんだよ?』