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温もりに包まれてて 【贄姫と獣の王】

第12章 人の手と獣の手


夜 部屋に戻るとシュリは床に膝をつき
ベッドの端にうつ伏せに寝ていた
ベットの上には紙で作られた鳥?
真っ白な鳥が何羽も散らばっており
シュリの手の中にもまだ出来上がってない物が握られていた

王「途中で寝入ってしまったのか…」

会わなかったのはたったの数時間
それでも顔が見えないことに
何故かイラッとし顔にかかった髪を
そっと傷付けないように
爪で耳にかけてやる

伏せている瞳にかかる睫毛の長さ
薄く色づいた頬
小さく赤い唇

ずっと見ていると触れたくなる
手を伸ばし もう少しで触れそうな所で
押しとどまり手を握りしめる

半分人間の血を持っていても今は獣の姿
安易に触れてはいけない気がしたのだ…

掌を開いてみると大きな手に鋭い爪
この手で何もかも掴み取った
この爪で守りたいと思った
自分の意思とは違ったとしても…

シュリに出逢い 傍においてから
今までとは同じにはいかなかった

何もかも守ってきたこの爪で
傷をつけてしまうのではないか…
そうなってしまったら私から離れてしまうのではないか…と、

撫でるときも手を反射的に反らしてしまう
だがそれでも触れたい 温もりを感じたい

そんな時は そっと一瞬
肉球だけをシュリの頬に当てる
伝わる暖かさ それだけで安心できる
何かがあるのだ
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