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温もりに包まれてて 【贄姫と獣の王】

第8章 魔王のお城


王「貴様は私を恐れぬのか…今すぐにでもこの首を引き裂くこともできるのだぞ」


何でそんなに悲しい目をするの…


手荒いことをしてる風には見えるけど王様の手は何故か暖かい気がする
何よりも真紅に輝く瞳がとても悲しそうに揺れているのが見えた…


『怖くないよ…もっと怖い…冷たい目を知ってるから…』

王「…」

『王様の目はそんな目とは違う』

王「何を言っている…」

首から爪が離れて少し王様との距離ができた

『まったく怖くない訳じゃない、でも魔族だからって怖いとは思わない 少しでも自分と違うものに対しては 同じ人間のが…怖い時もあるよ…』

王「哀れな娘だな…」



もふっ♪
『わっ…ぷっ!』

"ふかふかもっふもふ"がいきなり顔にかかってきた

『おっ 王様?』

王「そのような顔をするな…これならそんな目も見えなくなるだろぅ…」

ふかもふの正体は王様の尻尾で
大きな尻尾はアタシをくるんでくれていた。

暖かい…
王様の優しさに触れたようで尻尾に思いっきりスリスリしてみた。

やっぱり王様は本当は優しいし暖かい
でも王様だから弱さなんてきっと見せちゃダメなんだよね…


『王様…ありがとう…もう怖くないよ』






『ねぇ 王様もアタシの前では無理して強がらなくてもいい…からね……』


そのまま 暖かさに安心したのか瞳が閉じていった



綺麗な毛並みの尻尾が少し濡れてしまったのは誰にも気づかれない…



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