第7章 異な国
『あっ ごめんなさい すっごく気持ちよかったからつい テヘッ』
王「…」
久々に暖かい何かに触れたような気がした
肉球にすり寄りながら
『…アタシは…異世界から来ました。』
王「何を言っておる…」
『元の世界で事故に遭って 多分死んじゃったんだよね 気がついたらこの世界にいました』
爪に入っていた力が抜け首からは離れたが 肉球はまだ頬にくっつけたまま
アタシの話を黙って聞いてくれている。
『それでもとっても優しくしてくれた人達はいたけど…この世界にアタシの居場所はないと痛いほど身に染みました…だから帰る場所もない 貴方に食べられてそれでおしまい それでいいの』
一瞬 王様の手に力が入った気がした
王「人間の娘 名は?」
『アタシはシュリ 王様は?』
王「名は…ない」
王「供儀は この国の瘴気が晴れる"天啓"の夜…お前は面白い 特別にそれまで私の側に置いてやろう…」
王様side
この娘を見ていると何故だか落ち着かん…
今まで数多の生贄が連れてこられたが何かが違った。
しかも異世界からから来たと…
"手元に置きたい"
そんな感情が沸いてきて 側にいることを許してしまった。
また アヌビスの小言が煩いだろうが
まあ…良いだろう
どうせ"天啓"の夜までだ…
その日になれば
…また…同じ事を…
繰り返すだけだ…