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温もりに包まれてて 【贄姫と獣の王】

第5章 弱さ


確かにアタシは村の人からすれば
素性のわからない奴
だけど"この村の人ではない"
それだけの理由で生け贄になるの?

そんな事言うならなんで関係ないアタシが村のために生け贄にならなきゃいけないの
理不尽にも程がある!
生け贄なんて冗談じゃない…
取り敢えずは何処かに隠れよう…
そんな事を考えていたら

村長「逃げようなどと 考えるのではないぞ? そんな事をすれば、お前だけではない、ばーさんもどうなるかわかるであろう」

『そんな…』

村長「今まで面倒をみてもらってたんだろう、良い恩返しが出来たではないか」


なんてズルい言い方だ
そんなことを言われたらどうにも出来ないじゃないか

フッと、力が抜けてしまいその場に座り込んで目を閉じた

孤独感
悲しさ
憎しみ

嫌な感情が体の中を渦巻いて、冷たくなってきた手の先から真っ黒く染まっていく気がした





感情に押し潰されそうな時

「シュリちゃん」

おばあちゃんの呼ぶ声が聞こえた気がした

すると真っ白で暖かい物が黒い物を白く塗り替えていき胸が何かで一杯になった。

その何かはシュリにはわかっていた。
一人ぼっちで異世界に来てしまった自分を

優しさ
愛しさ
力強さ
暖かさ

色々な物で包んでくれていたおばあちゃんの気持ちだった。







掌を強く握り、目を開け

『わかりました おばあちゃんお願いします』


シュリの瞳には何か心を決めたような力強い光が灯っていた。






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