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温もりに包まれてて 【贄姫と獣の王】

第5章 弱さ


おばあちゃんとテーブルを挟んで夕食を食べていた。

畑の野菜がそろそろ食べ頃になる事や
おばあちゃんの部屋の窓が隙間が空いてしまったので、今度イリヤが来たときにでも直してもらおうなど、他愛もない話をしながら楽しく食事をしていると


ドンドンドンドン!
勢いよくドアが叩かれた

アタシがこの家に住みだしてからか、おばあちゃんの家に人が来ることは珍しかった。

『誰だろ?イリヤでも来たのかな?』

カチッ
鍵をはずし、ドアを開けようとしたが
その前にドアを押し開き、数人の男達が入ってきた。

一瞬何だかわからなかったが
男達の顔を見て嫌な予感しかしなかった。

お「皆で 何事だい?」

相変わらずの優しい話し方でおばあちゃんが言うと

村長「この娘が今回の生け贄に決まったんじゃ、今日中に魔族に引き渡す」

村長さんの言ってる意味がわからない…

お「何を言ってるんだい!この娘は渡さないよ」

おばあちゃんの初めてとも思える大きな声にアタシはビクッ!となった

村長「そんな我が儘は許されぬ事ぐらい、わかってるじゃろ、生け贄を出さなければ村が襲われるんじゃ。その娘はあんたの身内でもないんだから気にすることないじゃろう」

お「ふざけるんじゃないよ!
この娘は血が繋がってなくても私の娘だよ!生け贄なん…か…に…うっ…」

『おばあちゃん!』

もともと心臓が弱かったので大きな声を出したため負担がかかったのか、おばあちゃんは胸を押さえてしゃがみこんだ。

『おばあちゃん!』

おばあちゃんに駆け寄り支えようとすると
パン屋のおじさんに腕を捕まれた。

「お前はこっちだ」

腕を引かれて家の外まで引きずり出された。

『待って、おばあちゃんが』

「心配するな お前がおとなしくしないとばーさんが村にいられなくなるぞ」

『えっ…』

家からおばあちゃんが村の人達におんぶされて出てきた。
そのすぐ後に村長さんが出てくる


村長「ばーさんの事は心配するな 医者のところに連れて行ってやろう」

村長「お前さんには悪いが、村全体で決めたことじゃ。村の人間でないお前が選ばれる事に誰も反対はなかった。」

『そんな…な…んで…』

村長「悪く思わんでくれ…お前さんの命で村全体、ばーさんの命も救われるんじゃ」


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