第5章 弱さ
急に村があわただしい感じになってきた。
前にイリヤが話していた魔族に生け贄を出す順番がこの村に回って来たらしいのだ。
村は笑い声もなく、子供達も外に出ず
ひっそりとしていたが重苦しい空気が流れていた…
そんな中、村の男の人が村長の家に集まっていた。
どの家の娘を"生け贄"に出すか
という話だ
「娘はまだ小さすぎる!」
「うちは一人しかいないんだ」
「お前の家は3人もいるんだからいいだろ」
村長「これでは話が進まんな…刻限は迫っておるのじゃ」
「ではどうやって決めるのですか」
村長「よそ者であれば問題なかろう」
「よそ者なんて…あっ!」
「そうだ、あいつなら何処から来たのかもわからないんだから丁度いいだろう」
村長「うむ、決まりじゃな」
自分達の身を守るため
人としての感情が麻痺し
残酷な決断を簡単に決めてしまう…
間違っていると思う気持ちをも押し殺し流されてしまう
解っていても目の前の出来事に皆目をつぶっていく
それが人の弱さであり、愚かさでもあった。