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雛鳥は鶴に化けました

第1章 *





「そ、そのワンピースも似合ってて可愛いよ!ファッションセンスだって悪くないじゃん!」
「…これは弟が選んでくれたんだもん…」
「えーっと、レポートとか試験だっていつも褒められてるし上位じゃん!」
「…弟が勉強見てくれって毎晩言うからついでにやってただけだもん…」
「あー、流行りのメイクとか髪形だって取り入れてるし、彼氏なんてすぐできるよ!」
「…メイクのアドバイスは弟で、ヘアケアだって弟がお風呂上りにやらせてって強請ってるだけだもん…」

「………ちょっと待て」
「………アンタの彼氏が出来ない理由が分かった」
「………これはやばいやつだね」

ぐすぐす言う私を尻目に、友人達は頭を抱える。涙目のままポカンと見つめるが、先程よりも深い深い溜息を吐かれ、三人そろって机へ突っ伏す。訳が分からないままハンカチで目元を押さえていれば、一人の友人がガバッと起き上がってビックリする。

「よし、合コンに行こう!!!」

どうしてこうなった。目の前には美味しそうなご飯と、淡く色づいたカクテルと、同じ年頃の男性三人。まさに世間いうところの『合コン』の場に、私は座っていた。

あれから彼氏持ちの友人がその更に友人へ声を掛けてくれて、ついでに他の友人二人と共に半ば無理やり合コンをセッティングされた。怖気づく私を引っぱって、この椅子に座らせたのは左隣の友人だ。今は目の前の男性と楽しそうに喋ってるけど。家に連絡しなきゃと携帯を取り出した私を言いくるめて携帯を没収したのは、右隣の友人だ。今は以下略。夜19時を過ぎて帰宅するときは必ず弟である鶴丸に連絡をするのが決まりだったのだが、それもさせてもらえずちびちびとカクテルを飲むしか出来ない。時間を気にするあまり気もそぞろになる私を気遣ってか、男性は困り顔だ。その顔を見て、せっかく無理やりでもセッティングしてくれ来てくれた方に失礼かなと漸く思う。少しずつ会話し出した私は、両脇の友人達にせっつかれながら連絡先を交換した。(でも私の携帯は没収されてるので相手の連絡先をメモ用紙に書いてもらっただけだけど)


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