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雛鳥は鶴に化けました

第1章 *





大学四年の3月。無事内定も決まり、私は未だにべったり引っ付いてくる弟をどうにか誤魔化して友達と遊びに出ていた。ショッピングをしたり、カラオケに行ったり、カフェでお茶をしたり。内定が決まったからこそ味わえる最後の大学生活を満喫していた。他愛ない話で盛り上がったあと、ふと、友人の薬指に指輪があることに気付く。あれ、と思い指摘すれば、よくぞ聞いてくれたと言わんばかりの笑顔で頬を染め話し出す友人。

「え、彼氏出来たの!?」
「えへへ、うん。サークルの同期なんだけどね、この間告白されてさ」
「いいな~!」
「ずっと欲しいって言ってたもんね、おめでとう!」
「ありがとう!」

他の友人二人からも祝福の言葉を受け、彼女は幸せいっぱいの笑顔で受けとる。かくいう私も羨ましさ半分お祝い半分の気持ちでおめでとうと告げた。ありがとうと笑う友人は、しかし次に私含め三人の顔を見て続ける。

「みんなは?」

その言葉に、私たち三人は揃って溜息を吐いた。

「彼氏いたら女友達とばっかり遊びに行ってないって。この間別れたよ」
「そうそう。私なんてもう半年もフリーとか泣きたい…」
「えっ」
「え?」

三人ともフリーなのは知っていたしこの溜息が答えだったのだが、聞き捨てならない言葉を耳が拾ってしまう。思わず出た驚愕の声に首を傾げる他三人。だんだん顔が引き攣ってきたことを自覚しながら、恐る恐る、聞いてみた。

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