<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第245章 船の上で ― 姫&元就 ―
「妬くな、妬くな。おまえらも早く舞みたいな良いおんなを見付けろ」
「うへぇ、頭に言われちゃ、な」
がははは、と気の良い彼等はからから笑う。
そう、口に出して言う程、いちゃつかないで欲しいとは思っていないのだ。
「食事の支度をしたいから部屋に戻っても良いかな、また夜に星を見たいな」
他人の作ったものが食べられない元就さんの食事は、私が用意している。
「あぁ、頼んだ」
元就さんはもう一度私の頭をぽんと軽く撫でると、自分は船乗りさんたちに運航状態を確認するために機関室に入って行った。
私は部屋に戻り、食材を確認し支度を始めた。
現代では一人暮らしだった。
料理は得意ではないけれど、最低限の事は出来ているから一人暮らしで良かったと思う。
元就さんが未来の料理を珍しがって食べてくれるのが嬉しい。
しばらくして元就さんが戻ってきて、出来上がった料理を二人で食べた。
そして、暗くなって星が見えてくるようになり、また二人で甲板に出て星空を眺める。
「わぁ、綺麗」
「あの星」
元就さんが空の一点を指さすので見上げる。
「あの星だけは動かない。船乗りが位置を知るのに重要な星だ」