<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第245章 船の上で ― 姫&元就 ―
帆が風をはらみ、悠々と船が海を滑るように移動している。
「具合悪くならねぇか?」
隣で一緒に海を見ていた元就さんが、私の船酔いを気にして声を掛けてくれる。
「大丈夫、もう慣れたよ」
元就さんと船旅をするのは何度目なんだろう。
最初は船に酔ってしまって寝込む事が多かったけれど、さすがに何度も乗っていたら慣れてきた。
「そうか、でも気持ち悪くなったりしたら、すぐ言えよ」
ぽん、と元就さんに頭を撫でられ、私はちょっと甘えたくなって元就さんにすり、とからだを擦り寄せた。
「お、どうした」
そう言いながらも元就さんは私の肩を抱いてくれる。
「ちょっと甘えたくなった…かな」
小さく笑って元就さんを見上げると、最初の頃とは違う優しい眼差しがこちらを見ていた。
「珍しいな、舞が甘えてくるなんて」
そう言いながら元就さんは嬉しそうに、更に私を引き寄せる。
「頭!オレたちの前でいちゃつかんでくださいよ」
船乗りの一人にからかわれるけれど、元就さんはちょっと後ろを振り返り言う。