<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第245章 船の上で ― 姫&元就 ―
聞いた事がある、確か北極星と言って、その星を中心に星が回っているんだよね。
たぶん北極星の事を持ち出すと公転や自転を説明しなくてはならなくなるので、私の下手な説明で変な理解をされても…と黙っている。
この事については、いつか佐助くんから元就さんに伝授してもらおう。
「今はどっちに向かって動いているの?」
元就さんは丁寧にどこへ向かっているのか教えてくれる。
今、船に乗っているのは、珍しい異国のものを仕入れる商談のため。
「オレが商談中は、人を付き添わせるから市でも見ると良い」
私が市へ行くと必ず布を見に行くのを知っていて、そう声を掛けてくれるのが嬉しい。
「ありがとう、そうするね」
「ぼんやりしていて、他人に連れて行かれるんじゃねぇぞ」
ったく、と言って元就さんは私の頭を撫でてくれた。
私はそんな元就さんの気遣いが嬉しくて、ちょっと背伸びすると元就さんの頬に唇を押しつける。
そのまま元就さんの様子を見ていると、一瞬目を丸くした元就さんはこちらを見てにやりとする。
「全く可愛いお姫さんだ。オレをこうやって煽ってくるんだからな」
そして私の肩を抱き寄せて囁いた。
「うんと甘やかして欲しくなったか?いいぜ、眠れないくらいドロドロにしてやるぜ」
言葉にぼっと私の顔は赤くなるけれど、元就さんに包まれるのは嬉しい。
「うん…して、欲しい…」
小さい声で望みを伝えると、元就さんは引き寄せた私の肩を強く掴んだままぐるりと方向転換して言った。
「お望みどおり、たっぷり甘やかしてやるよ」
そのまま甲板をおり、部屋に戻った私たちがどうなったかは…説明に難くないよね。
<終>