<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第244章 生きている、生きていて。 ― 姫&秀吉 ―
でもそれを理由に毎回戦に行く度、どこかしか怪我を負ってこられると、御殿で待つ私は不安になってくるのだ。
「…心配なんだよ…?」
つぶやくように私が言うと秀吉さんは「うん」と答えてくれる。
「毎回こうして怪我をしてくると、次は大きな怪我をするんじゃないかって。そしてその次はさらに大きな怪我をして、その次は命に関わるような怪我をするんじゃないかって…」
秀吉さんが信長様に一番に命を掛けているのは知っているし、それを知りながら私は秀吉さんの側にいる。
わかっている…だからこそ、自分を大切にして欲しい…私の為にも…そう思ってつい涙がこぼれてしまった。
私の涙を見た秀吉さんは、途端にあたふたして私を怪我をしていない片腕で引き寄せる。
「あぁ、本当に俺が悪かった。だから泣かないでくれ」
「…わかってるの…ごめんなさい…でも心配なの…」
秀吉さんの胸に抱かれてつぶやくように言うのを、秀吉さんはよしよし、と私の頭を撫でてくれる。
「舞が心配してくれているのはよーくわかっているからな」
私は秀吉さんの事を理解しているつもりだし、秀吉さんは私の気持ちを理解してくれている。
「ありがとう、舞」
秀吉さんはそう言うと撫でていた手を外して、私をぎゅっと両腕で抱き締める。
「悪いな、心配させて。俺は信長様に命を預けているけれど、おまえのところに戻るつもりでもあるからな」