<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第244章 生きている、生きていて。 ― 姫&秀吉 ―
秀吉さんの言葉がするりと私の心に入り込む。
「…ほんとう?」
秀吉さんの顔を見ると、真剣な眼差しでこちらを見つめている。
「…何があっても戻ってきてね?」
私が出来る、精一杯の思いを伝えると秀吉さんは破顔した。
「あぁ、何があっても舞の許に帰るよ」
たとえ命が無くなっても魂は私へ戻る、という命がけの言葉。
それぞれの思いがあるから戦はこの時代には無くならない。
だから私は秀吉さんが生きて帰ろうと思える場所になろう。
秀吉さんを今度は私が抱き締める。
「私は待つよ。秀吉さんがここへ帰ってきたいって思ってもらえる場所になる」
私の言葉に秀吉さんは「ああ、そうしてくれ」と言って、私の目を覗き込むように見た。
秀吉さんに私は、約束と言わんばかりに口付ける。
抱き締め合って互いの体温を確認して、生きている事を実感しあうと、秀吉さんの手がするりと私の着物の帯を解いた。
「…もっと舞を確かめたい…」
そう言われて私の体温がぐんとあがったような気がする。
生きている実感を肌を合わせて確かめあい、秀吉さんをもっともっと私のものにする為…
<終>