<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第242章 愛する貴女との誕生日 ― 三成&姫 ―
舞様が袂に手を入れたと思うと、何かをくるんだ布を私に差し出してきました。
「気に入ってもらえるかわからないけれど…お誕生日おめでとう」
私はまさかここでお祝いをいただけるとは思わず、ただ、驚く。
「よろしいのですか?私に?」
「うん、良かったら使ってくれると嬉しいな」
それを受け取り「見ても良いですか?」と聞くと、頷いてくださったので布を広げる。
ごく普通の白い手拭い、かと思ったら、石田家の家紋の刺繍がなされたものだった。
「…これは舞様が?」
私が聞くと舞様はこくりと頷いて言われる。
「良かったら使ってね」
「…ありがとうございます…舞様…」
「なに?三成くん?」
私の手が頭と反対に動き、舞様のからだを攫って抱き締めてしまった。
舞様を困らせてはいけない、けれど、自分の心が破裂する。
「舞様…お慕いしております…」
私の言葉に舞様が小さく息を呑むのを感じ、やはり困らせてしまったのかと思っていると、小さな声で舞様が「私も…だよ…」と言われたのが耳に入る。
言われた言葉が理解出来ず、抱き締めたからだを離し、舞様の顔を覗いてしまう。
「私も…その…三成くん…好き…」