<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第241章 食べてくれて、ありがとう。 ― 姫&元就 ―
さじを持って元就さんはひとくちぱくりと口にする。
「…へぇ、なかなか美味いじゃないか」
元就さんから褒められると思わなかった私はちょっと驚いて聞く。
「ひとが作ったもの…食べられますか…?」
元就さんは「は」と小さく笑うと言う。
「そうだな、舞の作ったものなら食べられそうだ」
私が作ったものなら、その言葉に何となく心がほんわかしてきて嬉しくなった。
「ありがとうございます」
お礼を言うと、元就さんは変な顔をする。
「なんで礼なんて言うのか、変なヤツだな」
「え…だって、元就さん、他人の作ったものは食べないんですよね。だから私が作ったものを食べてくれて嬉しいです」
私が言うと、元就さんは後頭部をがしがしと掻いて言った。
「言っただろう。舞の作ったものなら食べられる、と」
私は思い切って聞く。
「…あのう、それは私を信用してくれたという事でしょうか…」
信用、という言葉が嫌だったらしく、元就さんはまゆをひそめるものの言う。
「あのなぁ、奴隷をそうそう信用する訳ねぇだろう?だが、俺が見張って作らせる限り、おかしなものは入れられないからな。だから舞のものなら食べられると言っているんだ」