<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第241章 食べてくれて、ありがとう。 ― 姫&元就 ―
「…料理、ですか…?もともと一人暮らしでしたし、料理は上手ではありませんけれど自炊してましたからいちおうは…」
元就さんから料理が作れるのか、と問われ答えると、首を傾げられる。
「一人暮らし…?自炊…?どういう事だ、それ?」
「私のいた時代は、成人すると親元から離れ、住まいを借りて一人で生活していく事が可能なんです。それで自分で料理をする事を自炊と言います」
元就さんはまゆをひそめて言う。
「一人で暮らすのに料理を誰かに作ってもらう事があるのか?自炊、という言葉が有んなら、そうじゃない事もあるんだろう?」
そうですね、と私は一度相槌をうち、説明する。
「お店で食べるものを食べたり、持ち帰り専門のお店で出来ているものを買って家で食べたりもするんです。忙しくて作る暇がなかったり、帰宅が遅くて作るのがおっくうだったりすると。私もそういう時は買って帰ったりしましたよ」
「ふぅん、未来のこの国はやたら便利になっているようだな」
腕組みをする元就さんに私は言う。
「だからあんまり私の料理の腕は期待しないでくださいね」
食材を用意して、ことんことんと包丁を使う。
ごはんも現代のように粒のそろった良質な米とは言い難く、だからねぎを切って卵を使ってチャーハンを作る事にする。
鍋も重くて使いにくいけれど、何とか作り上げると元就さんの前へお皿を出した。
「焼きめし…チャーハン、と言います。どうぞ」
「ふぅん、チャーハン…」