<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第239章 花冠 ―信長&姫 ―
「あ…起こしてしまってごめんなさい」
俺が眠っていたと気付き、慌てて謝る舞に俺は笑い掛ける。
「気にするな、こっちが勝手に寝ていただけだ。それより貴様が作っていたものは出来たのか?」
尋ねるとぱあ、と満面の笑みを舞は俺に見せる。
「はい、これです」
笑って俺の頭に何か載せた。
載せられたものは軽いらしく、何だか全くわからず、俺は載せられたものを手に取った。
花を組み合わせて作った輪だった。
「それ、花冠です」
言われてそのもの自体の理解が出来ない。
「花…冠とはなんだ?」
すると舞は目を丸くして、「あ、そうか」と改めて気付いたようだった。
「すみません、この時代に冠が無いのをすっかり忘れてました。冠って異国の偉い人が頭に載せているもので、実際はええと金や宝石で飾られた高価なものです」
「金や宝石…?」
砂金を頭に飾る?どうやったらそんな事が出来るのか、と俺がいぶかしんでいると、更に気が付いて舞は説明を続けた。
「あ、えっと砂金ではなくて、金を高熱で溶かして型に入れて頭に被るような輪っかを作るんです。その輪っかに翡翠とか琥珀とか高価な石を埋め込んで、それを頭に載せて被っているのが…えっと権力者の象徴にもなるんです」