<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第239章 花冠 ―信長&姫 ―
「くだらん」
俺はそういう飾り物には興味が無いので、冠とやらにも興味が無い。
「そ…そうですよね…信長様はそういうの、興味、無いですよね…」
途端にしょげる舞の姿に、俺は自分の頭に花冠とやらが載せられているのを思い出す。
「貴様が作ってくれたものは違う」
取り繕うように俺は舞に言うと、手にその花冠をとり頭から外して目の前に持っていって、まじまじとそれを見た。
白い丸い小さな花の茎を器用に編みながら輪をつくってある、愛らしい冠だった。
俺はそれを見ながらふ、と笑うと、舞を見ながらそれをまた頭に載せた。
「高価な冠は興味が無いが、貴様が作った冠なら、貴様をいつでも頭に感じていられるのだな」
俺の言葉に途端に赤くなる舞に、俺は「近くへ来い」と命じ、近寄った舞を抱き締める。
「…信長様…お誕生日…おめでとうございます…」
「あぁ…」
それ以上の言葉は要らない、と、俺は舞の唇を俺の唇で塞ぐ。
わずかな風で揺れる花の中、俺たちは何度も口付けし、舞の蕩けた顔を見てそのまま押し倒してしまう。
花に囲まれた舞は益々美しく、俺はそのまま舞へからだを沈めていく。
頭の花冠が俺の動きに合わせ、ゆらゆらとわずかな香りを漂わせながら…
<終>