<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第237章 White special day ― 武将&姫 ―
<信玄の場合>
「信玄様もいらしたのですか?」
舞は立ち上がって迎えてくれた信玄に問うと、信玄は目の端に色気を含んだ笑みを浮かべたまま、舞の手を取り、席へ誘いつつ答えた。
「舞という天女のために、な」
「もう…信玄様、からかうのはやめてください」
そう言いつつ、久し振りに信玄に会えて嬉しさを隠しきれない舞に、懐から最近気に入りだというまんじゅうを取り出し、信玄は舞に勧める。
「幸には内緒だよ」と片目をつぶる信玄の、漏れ出る色気にくらりと舞はなるもののさすが甘味好きの信玄が勧めるだけあって、まんじゅうはとても美味しかった。
「確か舞と佐助は同郷だと言っていたな。きみたちのところにはくらぶとかいう変わったものがあるんだな」
聞くとこのくらぶ乱世を考えたのは佐助だそうで、『そうだよね…そういうのを考えられるのは佐助くんくらいしか居ないよね…』と内心舞は思うのだった。
「おや、失礼」
突然、信玄は言葉を舞に掛けたと思うと、瞬間、信玄の顔が近付き唇同士が触れあった。
驚いた舞が目を丸くして信玄を見ると、信玄はぺろりと舌で唇を舐めまわしたところだった。
「天女の唇にまんじゅうの餡が付いていたから、おすそ分けしてもらったよ」
幸い他の武将たちは、披露される舞を見ているせいか誰もこちらは見ていなかったようだ。
「信玄様…油断も隙もありませんね…」
苦笑して舞が言うと、信玄は艶然と流し目をおくる。
「この後も二人きりになって、とことんきみを可愛がるつもりだよ」
信玄の練れた行動が、舞のからだを蕩かしていくだろう、と舞は想像し、一人そっとからだを熱くするのだった。
<終>