第237章 White special day　― 武将＆姫 ―

＜三成の場合＞

「さ、舞様、そこにいつまでもいらっしゃらないで、どうぞこちらへ」

三成が席を立ち、廊下で呆然と立ち尽くす舞を席へ座らせる。

「今日の安土城はくらぶ乱世と言います。舞様を皆様でおもてなしするのですよ」

にこにこする三成の言葉に、まゆをひそめて「くらぶ乱世？」と問い直す舞に、三成はちらりと佐助のほうをみて答える。

「佐助殿が安土へいらして提案なさったのです。皆様了承なさって、だからこそ謙信殿たちもいらしているのですよ」

さ、どうぞ、と三成が舞に酒を勧めるので、「少しだけね」と言って注いでもらうものの、思った通りこぼしてしまい、舞は袂から手拭いを取り出し濡れたところを拭いた。

「申し訳ありません、舞様、お着物を汚してしまいました…」

しょぼんとする三成に舞は慌てて大丈夫と答え、三成にも政宗が作ったという料理を小皿に取って勧めた。

「ほら、三成くんも食べよう？私一人じゃ食べづらいよ」

わかりました、と言って三成も箸を持ち丁寧に食べるのを、さすが武士だなと綺麗に食べるのを感心して見ていた。

「あ、ごめん、三成くん」と声を掛けて舞は三成の頬に手を伸ばし、口の端についていた食材をとり自分がぱくりとそれを口にした。

「舞様」と三成が驚き、舞も自分の行動に「つい…」と頬を赤らめた。

その舞の表情を見て、三成はゆったりと微笑むと「ありがとうございます。では今夜はそのお礼をしましょう」

その夜、二人のからだが闇の中に溶けていくのも、あと少し。


＜終＞