<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第228章 いつか、望んで。 ― 光秀&姫 ―
「困るなら、自分一人で馬に乗れるように鍛錬するのだな。安土へ戻ったら、俺はすぐ任務に就くからおまえの面倒はみられないぞ」
「わかりました。馬の練習を続けます」
嫌がるかと思ったが一人でも練習を続けると、見上げた性根の持ち主らしく、俺はだからさすがに一人で怪我でもされたら、と腹心の名を挙げた。
「九兵衛におまえの面倒を任せておくから、安心して練習するが良い」
「…ありがとうございます…あの、光秀さん…無事に戻られますように…」
俺にしがみつきながら、俺を心配する余裕があるのか、と内心驚くものの、それはおくびにも見せずそのまま俺は馬を走らせた。
安土に戻ってから俺は任務のため、すぐ安土を離れていたが、九兵衛から舞は真面目に馬の練習をしたらしく、だいぶ上達したと報告を受けた。
信長様へ報告に行き、下がると廊下で舞が立っていた。
「信長様に用か?」
俺が声を掛けると舞が首を左右に振った。
「違います、光秀さんを待っていたんです」
「おや、俺をか?元、妻が何の用だ?」
俺がやれやれと首をすくめると、舞はまゆを寄せた。
「茶化さないでくれませんか?用があるんです」
手に持っていた風呂敷包みを舞は俺に渡してきた。
「これは?」