<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第226章 獲物 ― 政宗&姫 ―
だからそれをいつまでも見ていたくて、あれもこれもと食わせたくなる。
「おい、政宗、構い過ぎだぞ」
秀吉が声を掛けるがそんなの知ったこっちゃねぇ。
「秀吉も構いたかったら一緒に構えば良いだろう?」
俺が秀吉を茶化すと、秀吉は見るからに目元を赤くして反論する。
「ばっ…そんな事をしたい訳じゃねぇ。舞一人で食べられるんだから、あんまり甘やかすなと言っているんだ」
「あー、そーかい、そーかい」
適当に秀吉の事はあしらい、俺は舞へ向き直り、自分であれこれ食べている舞に更に話し掛ける。
「どうだ、どれも美味いだろう?俺が手間暇かけて作ったからな」
俺の言葉に初めて気付いたらしく、目をまん丸にして舞は俺を見た。
「え…これ、全部、政宗が作ったの…?」
「おう、俺が作ったぞ」
目をぱちくりしながら皿を見つめる。
「すごいね…こんなにいろいろ、たくさんのお料理を一人で作るなんて…!」
「だからさっきから食べろって言ってたでしょ」
隣の席の家康が、気付いてなかったんだ、と呆れたように言われると、舞はもごもごと言った。
「やたら勧めるなぁとは思ったけれど、まさか政宗本人が作ったなんて思わなかったよ」