<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第226章 獲物 ― 政宗&姫 ―
「ほら、これ食べてみろ」
俺が箸でつまみあげ、舞の口元をつんつんと突つく。
「え…自分で食べられるよ…」
断る舞は恥ずかしいのか顔が赤いが、俺はそんな事気にしない。
「何を恥ずかしがってるんだ?良いから、ほら、口開けろって」
俺の強引な行動と言葉に、仕方ないといった体で口を開け、俺は箸のものを口へ押し込む。
舞は懐から急いで懐紙を取り出し、片手で口元を懐紙で隠しながらもごもごと口を動かす。
「そんなに上品ぶって食べても味がわかんないだろ?豪快に食って良いんだぞ」
俺が笑いながら言うと、まだ咀嚼が終わらないらしく、こちらを睨みながらもぐもぐと口を動かしている舞が小動物のようで可愛くてならない。
ようやく食べ終えたのか、のどがごくりと動くのが見え、舞が口を開く。
「もう、政宗ったらあんなに大きなお芋、口に突っ込んだら、早々話せないでしょう」
「美味かっただろ?」
俺はにっと笑いながら言うと、ちゅうちょしたように、でも舞は頷く。
「美味いもん食べられたんだから文句言うな。今度はこれだ」
味噌漬けにした魚の切り身をまた口元へ運んでやると、舞は「またぁ?」と声をあげるが俺はこいつの美味いものを口にした時の表情が好きなんだ。