<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第226章 獲物 ― 政宗&姫 ―
「そうか、じゃあわかったならこれも食べろ」
俺は自信作の凍り豆腐の煮物を箸で持ち上げる。
「最新の自信作だ」
そう言うと舞は文句を言う事なく、口へ凍り豆腐を入れ、じんわりと沁みる出汁の味を噛みしめていた。
「わぁ、お出汁がすごくよく沁みてるねぇ。こんなに凍り豆腐が美味しいなんて知らなかったよ」
「そうだろ?」
俺は得意げに言うと、更に舞に言う。
「んで、じゃあ、俺に惚れたか?」
途端、うっと詰まらせ、どんどんと自分の胸をたたく舞。
「そっ…それは関係ない、でしょ、う…」
涙目になってとんとん胸を叩きながら言う舞に、俺は頭を左右に振る。
「いいや、俺は本気だぜ。俺に惚れとけ、いつでも美味いものが食える」
「…考えておくよ」
困ったような表情で舞は答えるが、俺は既にあと二押しかと見切る。
俺が本気で狙えば舞は俺に堕ちる。
こんなに面白いおんな、堕とさない手はないだろう?
俺は小皿を持って食事をする舞を狙う一匹の龍となり、どうやって俺のとりこにさせるべきか頭の中で考え始めた。
<終>