<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第221章 陰陽師のひみつ ― 光秀&姫 ―
「舞、大丈夫か」
すぐ近くに足音がし、舞は抱きかかえられる。
「ん…光秀…様?」
目を開けながらこの声は、と思い当たる人の名を、舞は呼ぶ。
「舞、怪我はしていないようだな」
舞がゆっくりと目を開けると、いつもと違って焦ったような様子の光秀が目に入ってきた。
記憶を辿り、自分が何故こうしているのか思い出すと舞は光秀の腕の中からがばりと起き上がった。
「あっ!朱雀!」
いきなり起き上がって叫ぶ舞に、光秀も驚いたような表情を見せる。
「朱雀がどうした?」
「私、朱雀に何故かここに閉じ込められたんです」
「朱雀が?ああ…そういう事か」
舞の話しを聞いた光秀はすぐ合点がいったらしく、一人で頷きその姿を見る舞は眉をよせる。
「光秀様は理由がおわかりなんですね?どうしてですか?」
むくれながら舞は、そういえば光秀に抱きかかえられたままだった事に気付き、急いで光秀から少し離れた。
「この部屋に、おまえは入った事がなかったな」