<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第21章 イケメン戦国英雄伝説序章 ― 全武将 ―
こうして、みんなが佐助に注文をわいわい言い、佐助が表情の出ない顔に苦渋の様子を浮かべるようになった頃、広間の襖がすぱーんと勢いよく開いた。
ぎゃーぎゃーやっているまま全員が開いた襖を見ると、舞が後ろに数人のお盆を持った女中を従え、むすっと怒った顔で武将達を見つめていた。
「どーゆーことですかー」
怒りを含んだ声で舞は言う。
「皆さまがお疲れだと思って、お茶とお菓子を手伝っていただいて運んできたら、よってたかって佐助君を虐めて…!」
「違う、虐めてない!注文をつけてたんだ」
慌てて秀吉が舞に言う。
「でも、皆さん、佐助、佐助って、佐助くんにあれこれ言ってるじゃあないですか。廊下にいても丸聞こえでしたよ?」
どーんと構えて、舞は全武将に言う。
「皆さま!佐助くんを虐めるなら、私、皆さまの劇は見ませんからねっ!」
「駄目だ!俺達は必死に稽古しているのだ。舞が見ないなら、俺達の稽古の意味がないだろう」
謙信が悲壮な顔で舞に言うと、横で信玄も頷く。
「わかった。貴様がそういうなら、佐助の言う通りにやろう」
信長まで舞の言いなりだった…
そして、全員で佐助の許、訳のわからないまま稽古を繰り返し、ハロウィン当日となった。